ひとり暮らし

それにしてもさみしい。
ひとりでいることが全く苦にならないタイプの性格だというのに。
さみしさにとらわれたときの、あの、落とし穴にストンと落ちるような感覚はなんだろう。
さみしさは突然背後から襲いかかる。
友達と呑みに行った帰りのひとりきりの電車の中で。
ぼんやりとテレビを眺めている夜中の部屋で。
秋晴れの爽やかな青空の下、雑踏に紛れて。
物音もたてずに忍び寄り、あっと思う間もなく首筋に噛みつく。
するともう心は真っ暗な穴の中に落ちている。
いつもどうやってあそこから出てきているんだろう。
落ちるときのことは良く覚えているけれど出てくるときのことはさっぱり思い出せない。