道(フェリーニ)

孤独な魂は孤独な魂を知り、それに寄り添う。それが愛するということ。
では、なぜ愛するか、ということは理屈では全く説明できない。
あんな男のどこが良いのか、さっさと逃げ出せばいいのに、
なんてことはわたしが彼女じゃないから言えることなのだ。
彼女は彼から離れない。だってあたしがいなくなったら「あんたがひとりになっちゃう」。
そのときの哀しい微笑み。
わたしには「それは愛ではなくて憐れみに過ぎない」なんてとても言えない。
そしてその愛ゆえに彼女は永遠の悲しみの中に閉ざされてしまう。
そしてそれに応えることができなかった彼も。
愛は希望にも絶望にもなり得るという悲しい真実。
愛は「善」でも「悪」でも「正しいこと」でも「まちがっていること」でもなく、
そのようなマトリクスの上には乗せらない人間の営み。
わたしはそれをたくさんの映画や小説に教わったんだけど、
フェリーニはどこでそれを知ったんだろう。