1980

1980年に5才だったわたしの記憶といえば、なぜか「なかよし」1月号の読者コーナー。
別になにか印象的なことが書いてあったというわけでもなくて、
ただ、「1980」という字面に「なんかすごい」とやたらに感動したのを覚えている。
そんなことはどうでもよくて、映画「1980」はなぜに1980年なのか、よくわからない映画だった。
物語の舞台は1980年で、聖子ちゃんカットが流行っていて、インベーダーゲームとか
スライムとかウォークマンとかルービックキューブとかテクノカットとか
そういうものがたくさん出てくるけれど、
お話はもっと普遍的な、青春とか恋とか、そういうことについてのものだ。
だから、思うに、ケラリーノ・サンドロヴィッチ初監督作に対して
「'80sブーム」(?)という器が用意されていただけなのかも。
ではその器の中身はどうだったかと言うと、
ところどころグッとくるシーンもあるのだけれど、全体としては散漫だった。
というのは積み重なったジェンガがガラガラガッシャーンと崩れて、
さあどうなるのかなと思ったらそのままだった、みたいな終わり方のせいかも。
それはともかく、蒼井優ちゃんを観ている間はとってもしあわせだった。
しゃべり方とか仕草とか立ち姿とか、もう全部が「女の子」の結晶みたいだと思った。
わたしは岩井俊二がとても嫌いなのだけど「花とアリス」はきっと観ようと心に誓った。
ともさかりえも、顔が曲がっていることを忘れるくらいいじらしくてかわいかった。
と言うか、この人けっこう上手なんじゃないでしょうか。(どうですかお客さん!)
今回はいい台詞もいっぱいもらって儲け役でもあった。
犬山犬子のことをわたしはよく知らないけれど、
この映画では演技がまだまだ舞台っぽく、周囲から浮いているように見えた。
ということを全部ひっくるめて星取りは★★★。